ストレスケアブログ

不登校・多様な学びを考えるネットワーク茨城 ーつくば地区が今、熱い(21.11)

「不登校」は病気ではなく「状態」であり「現象」

文科省は、不登校児童生徒の定義を
・何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいは登校したくてもできない状況にある
・年間30日以上欠席した者
・病気や経済的な理由による者を除いたもの
上記3条件が満たされる児童生徒としています。

つまり、「不登校」とは、「病気」ではなく「状態」ですから、不登校が「治る」というのはちょっと表現がおかしいということになります。

そして、「学校に行きたくとも行けない」状態だけでなく積極的理由で「行かない」事を選択する場合も含まれるという点も押えておきたいところです。

支援する側としては、必ずしも不登校児童生徒のいる家庭において、学校に「行けるようになる」事がゴールになるとは限らない、と言うところが重要だと考えています。

もっと言うと、実際は「学校に行けるようになる」という目標でカウンセリング契約をすることはほぼ無いように感じています。
それは何故かと言うと、「何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景」ココがものすごく色々だからです。
結局、お一人ずつ、本人だけでなく、不登校状態を形成している関係者それぞれに寄り添いながら、どんなコトが不登校という状態の要因・背景になっているのか、と言うことに仮説を立てて、全体でそれを共有していくという過程が支援のプロセスになっていくと考えています。

心理師が不登校児童に関われる現場はとても限られている

ところで、心理師は、福祉、医療、教育、司法など様々な領域にまたがって活動する専門職ですが、残念ながら、こと不登校という状態像に対しては、関われる現場がとても少ないと言わざるを得ない。
そしてこの事実は、あまり一般には知られていないのではないかな?と思っています。

どうして関われる現場が少ないかと言うと。
教育領域における主戦場はスクールカウンセラーとして学校現場に入って、ということになるわけですが、スクールカウンセラーには、家庭訪問などのアウトリーチをする権利は与えられていないので、あくまで支援対象が学校に来ることができる状態の家庭、児童生徒、ということにどうしてもなってしまいます。その部分を補う役目として、スクールカウンセラーと共に学校現場に入る協働専門家として昨今スクールソーシャルワーカーが登場しましたが、まだまだ広く浸透はしていないのが現状。また、両者が同一日程で勤務する日の方が実際には少ないため、連携上も課題が山積しています。

文科省が算出している不登校数は本当??

そんな「不登校」ですが、定義が、実際問題、結構アバウトなんですよね ;
客観的基準としては「年間30日以上の欠席」以外、無いんですよね。
支援する上では、何が要因・背景となっての不登校?というところが肝になりますが、
不登校は「病気」じゃないので、精神科医療の範疇ではないんです。
何が要因・背景か?というのは、学校側の意味づけと当事者家族の仮説が違う場合もよくあります。
例えば年間29日欠席した子と、30日欠席した子で、不登校と言える言えないを線引きするのもな・・・??というモヤモヤも。

一応不登校児童数は毎年学校からの報告を吸い上げて集計されているのですが、それによると、約19万6千人。
(文部科学省 令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査 より)
でも、この数字には相当潜在人口をみないといけないと思っています。

日本の学校教育に多様な選択肢が求められている

これだけの児童生徒が学校という場になじんでいないという事実があるのですから、これはもう、教育システムそのものの問題だと強く思います。
未だ文部科学省主導で行われている不登校に関する研究調査では、不登校を問題扱いしています。
不登校児童生徒は=「問題児童生徒」とでもいうのでしょうか?
不登校児童生徒の居場所として各自治体が擁している場所の名称も「適応指導教室」。
適応を指導されるって、、何だろう。

このような中、コロナ禍で立ち上がったんです、茨城に。不登校児童生徒の保護者達が世話人となって。
「不登校・多様な学びを考えるネットワーク茨城」が!!
私もそのネットワークメンバーに入れていただきました。
筆無精ならぬSNS無精な私でしたが、facebook始めて良かった、と初めて思えた繋がりでした。

同団体は、かさま不登校ネットワークall unique さんとのコラボで、「いばらき不登校・多様な学び育ち応援サイト」を一般サイト公開しています。

つくばのネットワークメンバーが、市議会文教福祉委員会からのヒヤリングを受けました

2021年10月8日(金)、つくば市議会会議室にて、つくばのネットワークメンバーが、つくば市議会文教福祉委員会からのヒヤリングを受けました。

私はここで、以下の内容を訴えました。

①不登校と一口に言っても、実際は様々な背景・要因があるが、臨床経験と最新の研究知見からみても、それらはある程度類型化できる段階にある。不登校児童生徒の支援を考えるときには、ある程度、その背景要因による類型化ごとに、どのような支援があるのか、課題は何かといった議論をしていくことが実際的である

②就学前に、母子保健、家庭児童支援、あるいは幼児教育・保育などの現場が、児のおかれた環境の困難を感知していて就学後不登校状態になる可能性が濃厚であることを予測しているケースも少なくない。そのような場合、母子保健事業や就学相談、幼小接続の部分を充実させることによって、既存の仕組みだけでも救い出す事がもっとできるはずである。

③スクールカウンセラーの勤務時間、勤務条件が少なすぎて、十分現場に貢献できていない課題に着手して欲しい。



今後のつくば市文教福祉委員会の動向に注目

その後も、文教福祉委員ではないが不登校事情に関心を寄せてくださっているつくば市議・川久保皆実議員の呼びかけで、複数の議員の方との勉強・情報交換会が開催されるなどしており、2022年も引き続きこの活発な流れが続いていく向きとなっています。

私も一心理師の身ではありますが、自分がこれまで関わってきたご家族や、研修などで学んできた事をできるだけ施策に反映していただけるよう、今後も熱意もって取り組んで行きたいと思っています。